逸話・物語

この壺は満杯か?

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マナブ
マナブ
ねーハカセ!
今日はなんの話?
ハカセ
ハカセ
今日は少し趣向を変えて有名な逸話を紹介しようと思うんじゃがどうじゃろう?
マナブ
マナブ
うん、いいよ!
ハカセがどんなの紹介してくれるか興味あるもん!
ハカセ
ハカセ
おーそうかそうか!

今日紹介するのは、
“このつぼは満杯か?”
というお話なんじゃが知っておるか?

このお話の呼び方は“大きな石と小さな石”つぼの話”などといろいろあるようじゃな。

マナブ
マナブ
んーん、聞いたことないよ。
ハカセ
ハカセ
そうか。それなら話そう。
人生の大切なことを教えてくれるお話じゃよ。

“この壺は満杯か?”のストーリー

「クイズの時間だ」

教授はそう言って、大きな
つぼ
を取り出し教壇に置いた。

その壺に、彼は一つ一つ岩を詰めた。
壺がいっぱいになるまで岩を詰めて、彼は学生に聞いた。

「この壺は満杯か?」

教室中の学生が「はい」と答えた。

「本当に?」

そう言いながら教授は、教壇の下からバケツいっぱいの砂利を取り出した。
その砂利を壺の中に流し込み、壺を揺すりながら、岩と岩の間を砂利で埋めていく。

そしてもう一度聞いた。

「この壺は満杯か?」

学生達は答えられない。
一人の生徒が「多分違うだろう」と答えた。
教授は「そうだ」と笑い、今度は教壇の陰から砂の入ったバケツを取り出した。
それを岩と砂利の隙間
すきま
に流し込んだ後、三度目の質問を投げかけた。

「この壺はこれでいっぱいになったか?」

学生は声を
(そろ)
えて、
「いや」と答えた。
教授は水差しを取り出し、壺の縁までなみなみと注いだ。

彼は学生に最後の質問を投げかける。

「僕が何を言いたいのかわかるだろうか」

一人の学生が手を挙げた。

「どんなにスケジュールが厳しい時でも、最大限の努力をすれば、いつでも予定を詰め込む事は可能だ、という事です」

「それは違う」と教授は言った。

「重要なポイントはそこではないんだよ。この例が私達に示してくれる真実は、大きな岩を先に入れない限り、それが入る余地は、その後二度とない、という事なんだ」

君達の人生にとって“大きな岩”とは何だろう、と教授は話し始める。

それは、仕事であったり、志であったり、愛する人であったり、家族であったり、自分の夢であったり──。
ここで言う“大きな岩”とは、君達にとって一番大事なものだ。

それを最初に壺の中に入れなさい。
さもないと、君達はそれを永遠に失う事になる。
もし君達が小さな砂利や砂や、つまり自分にとって重要性の低いものから自分の壺を満たしていけば、君達の人生は重要ではない「何か」に満たされたものになるだろう。
そして、大きな岩、つまり自分にとって一番大事なものに
く時間を失い、その結果、それ自体を失うだろう。

“会社がなぜ消滅したか―山一証券役員たちの背信 (新潮文庫)”の文庫版あとがきより

“この壺は満杯か?”から得られる教訓

ハカセ
ハカセ
どうじゃ?
このお話がなにを伝えたいか理解できたじゃろうか。
マナブ
マナブ
うん、わかったよ!
自分にとっていちばん大切なものをどんなものより大事にしなさいってことでしょ?
ハカセ
ハカセ
そうじゃな!それもある。
マナブ
マナブ
それも?
ハカセ
ハカセ
このお話は“ビッグロックの法則”をうまく人生になぞらえたお話なんじゃ。

“ビッグロックの法則”とは、
大きな岩、砂利、砂という3種類の大きさの石を入れものに収めたいときに、大きな岩、砂利、砂と大きさの順に入れていくことによってすべてうまく収まるようにできる
という法則じゃ。

ハカセ
ハカセ
逆に言えば、3種類の大きさの石をランダムに入れていくと、途中でもう大きな岩を入れられなくなるんじゃよ。
マナブ
マナブ
入れる順番がちがうだけで入んなくなっちゃうものなんだ!
ハカセ
ハカセ
そうなんじゃよ。

人によって解釈が微妙にちがうかもしれんが、わしがこのお話から得た教訓は、
自分にとっていちばん大事なものがなにかを考えること
人生の時間には限りがあるから優先順位をつけること
の2つじゃ。

ハカセ
ハカセ
1つめはマナブが言ってくれたものじゃな。
2つめは“時間の大切さ”を教えてくれてるんじゃ。
マナブ
マナブ
へぇーそういう意味もあったんだ!
ハカセ
ハカセ
お話の中で教授が話していたように
“大きな岩”“いちばん大事なもの”のことじゃな。

じゃあ“壺”はなんのことを表してるかわかるか?

マナブ
マナブ
えぇっと。。。“自分自身”のこと?
ハカセ
ハカセ
わしは、“壺”“人生の時間”のことを表してると思うんじゃ。

壺の大きさは変えられない。
じゃがその中に入れるものを取捨選択することや、入れる優先順位を変えることならできる。

つまり、人生の時間には限りがあるから、先に取捨選択や優先順位付けをしておかないと、日々のやらなきゃいけないことに追われて、自分にとっていちばん大事なものにかけられる時間を失ってしまうから気をつけなさい、という教訓なんじゃろう。

マナブ
マナブ
そういうことなんだ!
すっごく深いんだね!この話。
ハカセ
ハカセ
そうじゃな。

マナブはまだとても若い。
まだ壺の中身がからっぽのような状態じゃ。なんだって入る。
可能性に満ちておるんじゃ。

自分にとっていちばん大事なものはなにか、ゆっくり考えてみるんじゃよ。

マナブ
マナブ
うん、わかった!

ねぇ、今度またこういう話紹介ほしいな!
こっちはこっちで楽しいからさ!
他にもある?

ハカセ
ハカセ
いっぱいあるよ。
そうじゃな、こういうお話もたまに話していこう。
わしもマナブに聞いてほしいお話がほかにもあるしの。
マナブ
マナブ
やった!楽しみにしてる!

まとめ

今日マナブはハカセから“この壺は満杯か?”の逸話を聞かせてもらった。

この逸話のあらすじは下記。

大学教授が教室にて学生達に「クイズの時間だ」と言って、
教壇に大きな壺を出し、その中にいっぱいになるまで大きな岩を入れてこう問いかけた。
「この壺は満杯か?」
学生は
「はい」と答えた。
だが、教授はその大きな壺に砂利を入れ、砂を入れ、水を入れた。

教授は「何を言いたいのかわかるだろうか」と学生達に再び問いかけた。
一人の学生が「どんなにスケジュールが厳しい時でも、最大限の努力をすれば、いつでも予定を詰め込む事は可能だ、という事です」と答えたが、「それは違う」と教授は言った。

ここで言う“大きな岩”とは、君達にとって一番大事なものだ。
志であったり、自分の夢であったり──。

それを最初に壺の中に入れなさい。
さもないと、君達はそれを永遠に失う事になる。
もし君達が自分にとって重要性の低いものから自分の壺を満たしていけば、君達の人生は重要でない「何か」に満たされたものになるだろう。

ハカセが考える、この話の教訓は以下の2点。

  • 自分にとっていちばん大事なものがなにかを考えること
  • 人生の時間には限りがあるから優先順位をつけること

つまりこの話が言いたいことは、ハカセの解釈としては以下のことだと言う。

壺の大きさは変えられないが、その中に入れるものを取捨選択することや、入れる優先順位を変えることならできる。

つまり、人生の時間には限りがあるから、先に取捨選択や優先順位付けをしておかないと、いちばん大事なものにかけられる時間を失ってしまうから気をつけなさい

マナブはまだ若いから壺の中身はからっぽに等しく、可能性に満ちている。
自分にとっていちばん大事なものはなにかをゆっくり考えてみてほしい。

ハカセはマナブにそう伝え、マナブは楽しそうにうなずいた。

参考文献